科学の構造

力学

科学は「自然の解釈法」のひとつです。

自然は生命にとって大切であるとともに脅威です。
そのため、人は自然を理解したくなるよう、プログラムされています。
ただし、自然は複雑すぎて簡単に理解することができません。

空を見上げればどこまでも空が広がっていきますが、人の知覚能力では空の果てを想像することすらできません。無限に広がる自然を、有限の人の能力で理解するために、「自然の解釈法」が必要でした。

それが「科学」です。

人の能力が有限であることを前提としているため、「科学は簡単」になるように設計されています。

では、「簡単」にするために、科学はどのような工夫をしているのでしょうか。それが以下の2つのルールです。

1.扱う現象の範囲を明確に規定している。
2.一つの理論で使用される物理量も明確に規定されている。

この条件を満たすよう、科学者は思考します。

例として「力学」を考えます。力学は物理に含まれる一つの理論です。力学では、

1.「物の位置変化」に関わる現象のみを興味の対象とする。
2.単位に長さ(メートル)、重さ(キログラム)、時間(秒)を含む物理量だけで表現する。

の2つのルールに従って作られています。ぜひ、教科書で確認してみてください。電圧や温度など、単位にボルトやケルビンを含む物理量は、力学の章には出てきません。科学の理論である以上、2つのルールから逸脱することは禁止されています。

ちなみに、知りたい現象が力学の範囲を逸脱してしまう場合は、他の理論と「組み合わせる」というやり方をします。電圧を興味の対象とする「電磁気学」や、温度を興味の対象とする「熱力学」などを力学と組み合わせます。力学を拡張してしまうと、その拡張は際限なく広がり、とても分かりにくくなってしまいます。

解釈法として機能させるために、拡張は避け、むしろ、可能な限りシンプルな構造にブラッシュアップしていく行為が研究者には求められます。

この2つのルールさえ意識できれば、学校のテスト課題も、作問の意図がつかめるので正解できます。

自然科学は天文学を起点のひとつとしています。
星空を想像してください。
空には無限の星が輝いています。都会の空では、多くの星が人工の明かりに隠れて見えませんが、宇宙には無限の星が存在しています。それらの星をすべて知覚しなければ納得できないということであれば、人はどう頑張っても星空を理解することはできません。科学では、その辺のことはスッパリと諦めます。特に目立つ星を選び、それらの星々に名前を付け、互いに線で繋いで星座として関連付けるだけで満足します。改めて、科学の2つのルールですが、「星座」に似ています。目立つ星を選ぶ行為が、ルール1の、現象の限定です。そして、それらの星に名前を付ける行為が、ルール2です。

結局、天文学を使っても、星空のすべてを理解することはできません。しかし、天球上を覆う主要な星はこの方法で把握できるため、夜の海でも船の位置が把握できるほどに星空を理解することができます。天文学の思考方法はしっかりと現代にも受け継がれています。

ところで、この2つのルールですが、あまり中学校や高等学校、大学でも明確に習わないように思います。ぜひ、これからの学習では意識してみてください。紀元前から続く、先祖からの贈り物です。

別のページで紹介する、電磁気学熱力学でも、このルールがどのように適用されるのかについて書いています。そちらの記事も参照をよろしくお願いします。

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