電磁気学が扱う4つの現象、その最後が「アンペールの法則」です。この法則も「電場と磁場の相互作用」についての実験結果から得られています。
この法則は、「電場が動くと磁場が発生する」という現象を表現しています。「ファラデーの電磁誘導の法則」と、ある意味、逆の方向に、電と磁が相互作用しています。
現象としては、以下のようなものです。

電荷が移動して、空間内の電場が変化すると、その周辺に「風が吹くように磁場が発生」します。図では、黒の太線方向にプラスの電荷が移動することで、赤の楕円で書いた磁場が発生しています。新しく発生した磁場を楕円で書いたのは、「理想的な小さいN極の単磁荷」を置くと、回るように磁場から力を受ける、という現象を表現するためです。
この現象に対応する式は、以前紹介した、
\( \displaystyle \nabla \times \boldsymbol{H} = \frac{\partial \boldsymbol{D} }{\partial t} + \boldsymbol{j} \)です。
右辺の
\( \displaystyle \frac{\partial \boldsymbol{D} }{\partial t} + \boldsymbol{j} \)が「電場が動くと」に相当します。「電場そのものが動く」ことを一項目の時間微分で表し、「電荷が動く=電流」を第二項目で表しています。
また、左辺の
\( \displaystyle \nabla \times \boldsymbol{H} \)が「風が吹くように発生した磁場」を表現しています。
以上が、電磁気学で扱われる4つの現象のすべてです。4つしかないので、とてもシンプルです…が、基本法則である「マクスウェル方程式」で使われている数学的表現のレベルがかなり高いのが問題です。「湧き出し」も「回転」も微積分とベクトルの処理が必要です。そのため、高校までの学習では直接的にマクスウェル方程式を扱うことができず、公式を連発して、計算結果だけを利用せざるを得ない状況です。それが高校までの電磁気学を分かりにくくしている要因のひとつです。

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