電磁気学② 構造

電磁気学

電磁気学には「学」がついています。「学」はひとつの理論を表します。そして、理論は以下の2つのことを満たしている必要があります。

1.扱う現象の範囲を明確に規定している。
2.一つの理論で使用される物理量も明確に規定されている。

というわけで、電磁気学では、上記の2つのことがどうなっているのかを考えます。

まず、「扱う現象の範囲」ですが、「電気現象と磁気現象」です。

ここで、電磁気学の大事な法則を紹介します。マクスウェル方程式です。

\begin{eqnarray}
\displaystyle \nabla \cdot \boldsymbol{D} &=& \rho \tag{1} \\
\displaystyle \nabla \cdot \boldsymbol{B} &=& 0 \tag{2} \\
\displaystyle \nabla \times \boldsymbol{E} &=& -\frac{\partial \boldsymbol{B} }{\partial t} \tag{3} \\
\displaystyle \nabla \times \boldsymbol{H} &=& \frac{\partial \boldsymbol{D} }{\partial t} + \boldsymbol{j} \tag{4}
\end{eqnarray}

この4つの式が、電磁気学が扱う「電気現象と磁気現象」を示してます。
式1本が1つの現象に対応しています。

つまり、電磁気学は4つの現象しか扱いません。電磁気学もとてもシンプルで、簡単に理解できるよう洗練された理論です。

4つの現象ですが、それぞれ
式(1):電荷があると、周囲に電場ができる。
式(2):磁荷があると、周囲に磁場ができる。ただし、単磁荷は見つかっていない。
式(3):磁場が時間変化する(つまり、磁場が動く)と、電場が発生する。
式(4):電場が時間変化する(つまり、電場が動く)と、磁場が発生する。
ことを式で表現したものです。

この4つはそれぞれ「法則」扱いになっていて、「直接、目で観測できないけれども、種々の実験結果を解釈するには、こう考えると解釈がしやすいよ」という、過去の科学者からの提案という形で定義されています。

つまり、「なぜこのような現象が現れるのか」の「自明な解はありません」し、そもそも実は、現在の科学では、これらの現象について十分に理解されているわけではありません。

重力の検討をしたときにも話題にしましたが、人間の認知能力には限界があります。そのため、現在のところ、電子、陽子、中性子について、人間は十分に解釈ができていません。電磁気は、電子、陽子、中性子がもつ性質です。「どんなものなのか理解できていない電子、陽子、中性子」がもつ性質が「電磁気」なので、「なぜこのような現象が現れるのか」について答えられないのです。

本来、科学は「なぜ?」に「解釈を与える」行為です。ですが、電磁気学については十分な解釈が与えられていません。無理なものは無理なので諦めて、実際に起こる実験結果を整理して理解しやすくしただけの理論、それが電磁気学です。

「現象を納得して理解する」という本当の意味での理解はできませんが、「実験結果を列挙しただけ」の電磁気学という理論は、とてもシンプルに構成されています。つまり、学習することはとても簡単です。

ちなみに、4つの現象に対応する「法則」は、電磁気学の根幹法則であり、大事なので名前がついています。

式(1):電場に関するガウスの法則
式(2):磁場に関するガウスの法則
式(3):ファラデーの電磁誘導の法則
式(4):アンペールの法則
です。

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