自然科学は「“不思議に思ったこと”を理解する行為そのもの」です。子供は特定の発達段階において、「なんで?」と問いかけることが多くなります。年齢に関係なく、その気持ちを持っている瞬間は、皆、科学者です。
空に浮かぶ雲の流れを見ながら、動物を想像したり、
川のキラキラした流れを眺めながら、ふと渦が見えて見入ってみたり、
星空を眺めながら、星座を探して星を線で結んでみたり。
それらはすべて「科学」です。また、興味の対象は自然現象に限りません。自然科学は「哲学」と一体です。
「なぜ戦争が起こるのだろう?」と人のDNAに刻まれているのであろう生物の構造から考えてみたり、
「株価の変動」を人の心の動きから推測したり。
これらもすべて科学です。
ただし、好奇心を維持することは大変です。
好奇心は長期的な生存率を高めますが、即時的な効果はありません。大人になるに従い、毎日が忙しくなるので、好奇心が薄れていくのは当然のことです。

僕自身、受験期などは勉強内容そのものには、あまり興味がもてませんでした。
点数に追われるのが勉強でした。
しかし、研究は「不思議に思う現象を探す」ことが仕事でした。
研究者は、論文を読んだり、学会に参加して、ワクワクを探しまわっています。
たとえば、特定のプラスチックを加熱すると、飛び跳ねたりします。なぜだかわかりますか? 縮んで、溶けて、焦げて、燃えるだけだと思っていました。僕はこの現象に対して、今も解を持っていません。不思議です…
物理っぽくない例ですが、好きな人の発言や行動に不思議さを感じたら、気になります。それに近い感覚で、「なんでだろう…」と、ふと、そのことで頭がいっぱいになる感覚を、常に探しています。
好奇心は簡単になくなります。
しかし、研究に限らず、仕事とは、他人に求められるものを提示することなので、好奇心が必要です。
どんな仕事をするにしても、科学的思考と研究者マインドは役に立ちます。
好奇心を大事に守りながら、人生を生き抜いてほしいと思っています。

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