「自然現象の不思議さを見つけ出し、解釈を与える」のが自然科学です。
子供が花や虫、あるいは雲をジッと見つめて、不思議さを感じているのは、まさに科学を実践していることになります。
ただし、見つめているだけで不思議さを見つけられるのは、かなり上級者です。子供のような感度の高いアンテナと強い好奇心を維持している方でないと、なかなか不思議さを発見できません。
そのため、物に「刺激を与え」、「応答を観測する」ことで、不思議さを発見しやすくすることが多いです。
刺激を与えると、何らかの反応が返ってきます。それは、普段では観測できない挙動だったりします。そこに不思議さを見出します。
「熱」を刺激とし、加熱、あるいは冷却することで知ることができる「物の性質」が、熱物性です。
熱物性のうち、劇的な状態変化を伴うものが「相転移現象」です。
「相」とは、固体や液体などの状態のことです。それが変化するのが相転移現象です。
氷が水になったり、水が水蒸気になったり。
この現象の中に「不思議さ」を探します。
たとえば、「ヒスタミン」の観察結果があります。
ヒスタミンは体内にある、血圧降下などの作用がある物質です。
液滴を冷却したものを、デジタルカメラで撮影しています。
また、右上の拡大図は顕微鏡で撮影したものです。

冷やしているので、結晶化しつつあります。
顕微鏡での観察でも、結晶領域が観測されました。
温めれば溶け、冷やせば固まる、が相転移の原則です。
ただし、冷やすと、普通は外側から冷えます。
熱い食べ物にフ―と息を吹きかけて冷やし、もう食べられると思ったのに、中がまだ熱かった!という経験があるかと思います。
つまり、冷却すると外側から結晶になる現象が観測されます。
しかし、この物質は内側が結晶化するのに、外側はなかなか結晶化しないのです。
不思議です…
結局、この現象は、表面から水分が侵入し、結晶化を妨げているのだと解釈しているのですが、初めてこの現象を見たときは「おや?」と違和感を感じました。
このように、刺激を加えると、不思議現象の発掘作業が捗ります。
ちなみに、物理学で「熱」を扱うのは「熱力学」です。ただし、熱力学で相転移「中」の現象は扱えません。守備範囲外なのです。熱力学は「熱平衡状態」という「時間的に変化しなくなった後」のエネルギー状態がどうなっているか、を興味の対象としています。そのため、結晶が成長している過程などは、検討の対象外です。
つまり、「熱力学」でもしっかり検討されていない「相転移現象」は、「不思議さ」を発掘しやすい領域です。

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