平衡状態になっている系を想像してください。この系の熱力学変数である体積やモル数などを実験で変化させると、系の状態は時間とともに徐々に変わり、最終的に別の平衡状態になります。
熱力学は、新しく実現する平衡状態における「熱力学変数の組み合わせを予言する」ために使用します。
熱力学には以下の4つの関数があります。
\(\Delta U = ~~T \Delta S ~~ – P \Delta V~ + \mu \Delta N \\
\Delta H = ~~T \Delta S + V \Delta P~ + \mu \Delta N \\
\Delta F = -S \Delta T~ – P \Delta V~ + \mu \Delta N \\
\Delta G = -S \Delta T + V \Delta P~ + \mu \Delta N
\)
これらの熱力学関数は、すべて、系のエネルギーを表しています。単位はJ(ジュール)です。
平衡状態とは、時間的に系の状態が変化しなくなるような、エネルギー的に最も安定な状態です。エネルギーが変化しなくなっているので、\( \Delta U \) や \( \Delta H \) がすべてゼロになっています。
つまり、熱力学関数とは、
1. \( \Delta \) の付いている熱力学変数を変化させる
2. その変数の値の組み合わせを初期値として熱力学関数を計算する
3. 熱力学関数の変化量 \( \Delta U \) や \( \Delta H \) などがゼロになる熱力学変数の組み合わせを求める
という使い方をします。
ここで、4つの熱力学関数のすべてて、ゼロになるのを確かめるのは面倒です。
どれか1つの関数でゼロになることを確認すれば、他の関数でもゼロになることが保証されていてほしいのです。そのために、変数の変換にはルジャンドル変換を使用していました。
ルジャンドル変換には「等価性を維持する」という特徴があります。つまり、内部エネルギーの変化量 \( \Delta U \) がゼロになる場合、自動的に \( \Delta H \) もゼロになります。
熱力学関数には、それぞれ、実験で変化させる物理量が決まっています。\( \Delta \) が付いている物理量です。内部エネルギーなら、エンタルピーと体積とモル数です。実験条件に合わせて適切な熱力学関数を選び、その関数で平衡状態を求める、という手法が熱力学の流儀です。

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