熱力学⑬ 示量性変数 と 示強性変数

熱力学

4つの熱力学関数は互いにルジャンドル変換でつながっています。

\(
\Delta U = ~~T \Delta S ~~ – P \Delta V~ + \mu \Delta N \\
\Delta H = ~~T \Delta S + V \Delta P~ + \mu \Delta N \\
\Delta F = -S \Delta T~ – P \Delta V~ + \mu \Delta N \\
\Delta G = -S \Delta T + V \Delta P~ + \mu \Delta N
\)

ルジャンドル変換をするとき、「熱力学関数」と「\( \Delta \)が付いている熱力学変数」の組み合わせを知っている必要があります。たとえば、内部エネルギー \( \Delta U \) なら \( \Delta \) はエントロピー \( S \) と体積 \( V \) とモル数 \( N \) に付いています。

この変数の組み合わせには覚え方があります

エントロピー \( S \) と体積 \( V \) とモル数 \( N \) はすべて「示性変数」です。
そして、係数である温度 \( T \) と圧力 \( P \) と化学ポテンシャル \( \mu \) はすべて「示性変数」です。

性変数とは、同じものを2つ持ってきて合体させたとき、値が倍になる変数です。
体積が1 m3の系を2つ持ってきて合体させると、全体は2 m3になります。倍です。
モル数が1 molの系を2つ持ってきて合体させると、全体は2 molになります。倍です。
エントロピーとは、熱エネルギーを温度で割った物理量です。同じ温度で、1 Jだけ熱エネルギーを外界からもらった2つの系をもってきて合体させると、系がもらった熱エネルギーは合計で2 Jになります。温度一定で熱エネルギーが1 Jから2 Jになっているので、倍です。

性変数とは、同じものを2つ持ってきて合体させたとき、値が変わらない変数です。
温度が1 ℃の系を2つ持ってきて合体させても、温度は1 ℃のままです。変わりません。
圧力が1 Paの系を2つ持ってきて合体させても、圧力は1 Paのままです。変わりません。
化学ポテンシャルは、1 molの物体のもつエネルギー量です。1 J/molのエネルギーをもつ1 molの物体が入った系を2つ持ってきて合体させると、モル数は倍になります。しかし、1 mol当たりのエネルギー量は変わりません。つまり、化学ポテンシャルは変わりません。

内部エネルギーは示量性変数に \( \Delta \) を付けて、示強性変数には付けないと覚えて、ほかの熱力学関数をルジャンドル変換により導く、というのが便利だと思います。

ルジャンドル変換は、
内部エネルギーからエンタルピーを導くときは、第2項を変換、
内部エネルギーからヘルムホルツエネルギーを導くときは、第1項を変換、
ギブズエネルギーは内部エネルギーから両方の項を変換…する必要があるのですが、ルジャンドル変換は同時に複数の項を変更できないので、
エンタルピーの第1項を変換するか、ヘルムホルツエネルギーの第2項を変換します。

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