熱力学⑩ 変数と、係数

熱力学

熱力学関数は4つです。

\(
\Delta U = ~~T \Delta S ~~ – P \Delta V~ + \mu \Delta N \\
\Delta H = ~~T \Delta S + V \Delta P~ + \mu \Delta N \\
\Delta F = -S \Delta T~ – P \Delta V~ + \mu \Delta N \\
\Delta G = -S \Delta T + V \Delta P~ + \mu \Delta N
\)

これらの式の左辺はそれぞれ、内部エネルギー \( U \)、エンタルピー \( H \)、ヘルムホルツエネルギー \( F \)、ギブズエネルギー \( G \) です。

\( \Delta \) は「変化量」を表す数学の記号です。4つの熱力学関数は、右辺の \( \Delta \) の付いている熱力学変数の組み合わせが異なります。

\( \Delta \) が付いている変数は、(すべてに共通の \( N \) を除き)
内部エネルギーでは、 \( S \) と \( V \) 、
エンタルピーでは、 \( S \) と \( P \) 、
ヘルムホルツエネルギーでは、 \( T \) と \( V \) 、
ギブズエネルギーでは、 \( T \) と \( P \)
です。

4つの式の、基本形は一番上の、内部エネルギーです。この式は熱力学第一法則の変形ですので、第一です。

「内部エネルギー」から、第2項の \( V \) と \( P \) を入れ替えて符号を変えたものが「エンタルピー」です。
「内部エネルギー」から、第1項の \( S \) と \( T \) を入れ替えて符号を変えたものが「ヘルムホルツエネルギー」です。
「内部エネルギー」から、両方の項の、 \( S \) と \( T \) 、 \( V \) と \( P \) を入れ替えて符号を変えたものが「ギブズエネルギー」です。

規則性がある美しい式になっています。

形式的には以上のような入れ替え関係になっているのですが、その意味について考えます。

まず、内部エネルギー

$$ \Delta U = T \Delta S – P \Delta V + \mu \Delta N $$

を考えます。

第1項目 \( T \Delta S \) はエンタルピー \( S \) を変化させたときの、系のエネルギー変化量を表しています。エントロピーとは「乱雑さの度合い」であり、実験でエントロピーを独立で変化させるのは難しいため、結局は「加熱によるエネルギー変化量」を表します。

第2項目 \( – P \Delta V \) は系の体積を変化させたときの、系のエネルギー変化量を表しています。ただし、系のエネルギーが上昇するのは「圧縮」したときなので、\( + P ( -\Delta V ) \) のように表記し、\( -\Delta V \) で「圧縮量」を表す方が妥当かもしれません。

この式を変形して残り3つの熱力学関数が作られます。内部エネルギーと同様に考えると、

エンタルピーは、「エンタルピー」と「圧力」を実験で変化させたときの系のエネルギー変化量、
ヘルムホルツエネルギーは、「温度」と「体積」を実験で変化させたときの系のエネルギー変化量、
ギブズエネルギーは、「温度」と「圧力」を実験で変化させたときの系のエネルギー変化量
を表す、ということになります。

ちなみに、\( \Delta \) の前の熱力学変数は「係数」となります。

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