新しい理論の話に入ったので、またまた、熱力学の構造について考えます。熱力学も「学」がつく理論なので、科学全般に当てはまるルールに従って作られています。
確認ですが、科学の理論には以下の2つのルールがあります。
1.扱う現象の範囲を明確に規定している。
2.一つの理論で使用される物理量も明確に規定されている。
熱力学が「扱う現象」は、「系に流入するエネルギー」だけです。しかも、エネルギーの供給方法は3種類で、「加熱」、「圧縮」、「物の流入」のみです。
それを踏まえて、「使用される物理量」ですが、その前に、熱力学の根幹法則である「熱力学第一法則」を確認します。熱力学第一法則は
\( \Delta U = q + w + \mu \Delta N \)です。
\( U \) は「内部エネルギー」といって、系のエネルギーです。\( \Delta \) は変化量を表す「形容詞」なので、\( \Delta U \) で「系に流入するエネルギー量」を表します。
\( q \) は「系に流入する、加熱による熱エネルギー」、
\( w \) は「仕事」といい、「圧縮されることによる、系に流入するエネルギー」のことです。
\( \Delta N \) は系の中にある物体の「モル数の変化量」で、\( \mu \) は「化学ポテンシャル」とよばれる「1 molの物体がもつエネルギー量」です。そのため、\( \mu \Delta N \) で「系内に流入した物体による、エネルギーの増加量」です。
この第一法則を更に変形します。
\(q = T \Delta S \\
w = – P \Delta V
\)
の関係があるため、
\( \Delta U = T \Delta S + \left( – P \Delta V \right) + \mu \Delta N \)となります。
この式の \( U \) や \( T \) などが、熱力学で「使用される物理量」です。
まず、右辺にある6つの物理量が「熱力学変数」で、
\( T \) は温度、
\( S \) はエントロピー、
\( P \) は圧力、
\( V \) は体積、
\( \mu \) は化学ポテンシャル、
\( N \) はモル数。
左辺の
\( U \) は内部エネルギーで、「熱力学関数」に分類されます。
更に、熱力学関数は追加で3つあって、
\( H \) がエンタルピー、
\( F \) あるいは \( A \) がヘルムホルツエネルギー、
\( G \) がギブズエネルギー、
です。
6つの「熱力学変数」と4つの「熱力学関数」が、熱力学で「使用される物理量」ということになります。

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