上肢とは、腕から手の部分のことです。
四足歩行動物では「前足」と呼ばれる部位で、もともとは重力に耐えるための足でした。
それが二足歩行になり、重力の負荷は下肢が担うようになりました。そのため、「重力から解放された前足」が上肢です。
強度が不要になり、骨と骨の結合が弱くなりました。その代わりに可動域は向上しました。
可動域の向上は、人間に道具の使用を促進させ、文明の発展に繋がりました。
前の記事では重力の負荷が我々の骨格に与える影響について書きました。
この記事は、重力から解放された上肢を扱うことで、逆説的に前足が受ける負荷の大きさを強調し、骨格に与える重力の影響を再認識するものになっています。
さて、上肢には3つの大きな関節があります。肩関節、肘関節、手関節です。
肩関節(けんかんせつ)
四足歩行動物の場合、肩甲骨と上腕骨は強く結合していて、体を支える構造になっています。それが、二足歩行動物の場合、まったく支える気はなくなり、肩甲骨は背中側に広がるように配置し、上腕骨との結合は非常に浅くなっています。

そのため、この関節は脱臼しやすく、特定の方向に力を加えることで外れてしまいます。また、上腕二頭筋などの筋肉で腕をぶら下げるような構造をしており、動きの自由度が高い関節です。
肘関節(ちゅうかんせつ)
ひじの関節です。この関節も、二足歩行動物の場合は骨と骨の結合が弱くなっています。

特に橈骨は腕をスムーズに回転させられるような構造をしており、橈骨頭部分は、きれいな円柱状になっています。この骨頭部分は、前腕の回転に伴い、回転します。
美しい形状をしている橈骨頭ですが、触って確認することができます!
右腕(左腕でも可)を伸ばしてみてください。肘関節部分にエクボができると思います。そこが橈骨頭部分です。左手でエクボを触り、前腕を回転させてください。中で骨がクルクルと回っているのが分かると思います。これが橈骨頭です。
このように、二足歩行動物の上肢の関節は動きやすいような形状をしています。しかし、強度は保てなくなっています。無理な角度で力が加わると骨折したり、脱臼したりします。
前足は重力から解放されることで上肢になりました。強度を低下させる代わりに、広い可動域を得ました。これは逆説的に、重力が我々の骨格に大きく影響を与えていることを示しています。

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