力学⑮ 続々・エネルギー

力学

仕事とエネルギーは以下の式で定義されます。

\( \displaystyle \int_{x_0}^{x_1} F dx = \frac{1}{2} m v_1^2 – \frac{1}{2} m v_0^2 \)

この式の意味を考えます。

この式は運動方程式を積分して導出しました。

まず、運動方程式の意味を復習します。

運動方程式は
\( F = ma \)
でした。ここで、\( F\) は力、\(m \) は質量、\( a\) は加速度です。

加速度は
\( \displaystyle a = \frac{dv}{dt} \)
です。微分の形で書けるので、ある瞬間の出来事を表現しています。

つまり、運動方程式は、「ある瞬間に力という作用が働けば、その瞬間に物体が加速する」ということを表現しています。

それを積分したのが、エネルギーの式です。

積分とは「区間」の現象を考えるときに使う演算です。

エネルギーの式は、運動方程式を「位置で積分」して作りました。
「位置積分」は、「ある物体を移動させたときの(位置を変化させたときの)、移動前と移動後の間(区間)での、物理量の変化を考えるための演算」です。

つまり、位置 \( x_0 \) から位置 \( x_1 \) まで物体を引きずります。ズルズルと。

ズルズル引きずったときに加えたトータルの力が、「仕事」
\( \displaystyle \int_{x_0}^{x_1} F dx \)
です。

「運動エネルギー」は「物の勢い」を表します。「勢い」とは、たとえば、その物体を別の物体に衝突させたときに、どのくらい弾き飛ばせるか、を表す量です。
重い(質量が大きい)物体なら、ドン!と弾き飛ばせます。
また、軽い物体でも、速度が大きければ、ドン!と弾き飛ばせます。
そのため、運動エネルギーは、質量と速度に依存します。

ズルズル引きずるの「勢い」を表しているのが
\( \displaystyle \frac{1}{2} m v_0^2 \)
です。

そして、ズルズル引きずったの「勢い」を表しているのが
\( \displaystyle \frac{1}{2} m v_1^2 \)
です。

引きずった後と前の「勢い」の差を生み出しているのは、その間に加えらえた「力」です。

つまり、ズルズルと引きずった時の、
「加えらえた力の総量(仕事)」の分だけ、「勢い(運動エネルギー)」が変化した、というのが冒頭の式の意味です。

ある瞬間の現象を表す運動方程式を積分して、区間の変化量に書き直した式、ということです。

人間は、「区間」での変化量で現象を理解することを好む性質があります。

100メートル走を想像してください。

よーいドン!で走る走者の、瞬間瞬間の加速度を意識することは、スタートダッシュの瞬間ぐらいです。

結局、100メートルを何秒で走り切ったかで、速さを議論することのほうが多いです。

つまり、運動方程式より、エネルギーの式のほうが人間にとって使いやすい場合もある…ということです。

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