重力がなぜ働くかは不明ですが、重力の性質は分かっています。
重力は「重」とあるように、重さに関係する量です。厳密に測定すると、「重さをもつ物すべてが重力で引き合っている」ことが分かります。
つまり、重力は地球が物体を引き付けている力というだけでなく、すべての物体間、つまり、コップとスプーンが引き合っていたり、紙と鉛筆が引き合っていたり、鉛筆と鉛筆を持っている人が引き合ったりしている力のすべて、ということになります。
ただし、重力には以下の性質があります。あります、というか、測定結果が以下のようになった、という意味ですが。
1.質量に比例して引力が大きくなる。
2.物体間の距離が離れれば、引力は急激に小さくなる。
急激に、というのは距離の2乗分の1で小さくなるという意味です。重力の性質も、「2物体間に働く重力だけ」で説明されます。複数の物体があった場合、全物体は互いに重力を及ぼし合いますが、その場合も2物体ごとにペアを作って重力を考え、最後にすべてを足し合わせればよいです。
繰り返しになりますが、重力がなぜ働くかは不明なので、なぜ1と2のような性質があるのかも不明です。あくまで、測定結果をまとめると1と2のようになる、というだけです。現在の人間では、そこが限界なので、今はそれ以上の考察は諦めるしかないのです。別の見方をすれば、重力は今も研究対象になる現象です。
さて、重力の性質をまとめます。まとめるというのは数学的に記述するということです。
式で記述するために、物理量を決めておきます。
2つの物体があって、それぞれの質量を \(m_1\) と \(m_2\) とします。また、この2つの物体に働く重力の大きさを \(F\)、物体間の距離を \( r \) とします。
性質1と2はそれぞれ式で書くと
\( F \propto m_1 \times m_2 \)
\( F \propto r^{-2} \)
となります。\( \propto \) は比例関係を表す数学的記号です。
これをまとめると
\( F = G \displaystyle \frac{m_1 \times m_2}{r^2} \)
となります。
比例係数として\( G\)が増えているのですが、これは「左辺と右辺の単位と数値を合わせるための比例係数」で、万有引力定数とよばれています。
左辺の「重力」は「力」なので、運動方程式で定義された量です。運動方程式は力学では絶対の順守が求められますので、定義変更は許されません。一方で、右辺の
\( \displaystyle \frac{m_1 \times m_2}{r^2} \)
は重力の2つの性質をまとめたものです。力の単位を持ちませんし、運動方程式との関連も考慮していません。そのため、両者を等式でつなぐために比例係数が必要だったのです。

コメント