力学⑤ 続・「見えるもの」の定義

力学

力学で扱われる物理量は7つです。
そのうち、「大きさ」、「加速度」、「速度」、「位置」、「時間」は「見えるもの」です。

「加速度」の日本語での定義は「速度の増率」です。増加率なので、減速する場合は負の値になります。速度の増加率とは「どれくらいダッシュしているか」を表す量です。速度以上に観測しにくい量ですが、速度と同様に、運動の時間経過を観測していれば、視覚的に測定できなくもない…という意味で「見えるもの」に分類できます。

数学的に表現するなら、速度での議論と同様に考えて、加速度を \(a\) 、速度を \(v\) 、時間を \(t\) とすると、
\( a = \displaystyle \frac{d v}{d t} \)
です。

「大きさ」は、「形状」と、その形状を特徴づける「長さの単位を持つ物理量」のセットです。球なら半径とセット、立方体などの辺を持つ形状なら各辺の長さとセットで機能します。
ちなみに、最も簡単な形状は「点」です。物理では質量を考える点を「質点」と言います。点が質量をもつと密度が無限大になるのでありえないのですが、簡単のためにそんな仮想的な物体も考えます。科学は「簡単」であることが正義なので、多少無理な近似でも許される文化です。

「時間」は難しい概念です。時間そのものは見えませんが、天体の動きで時の流れを知覚できます。また、時計という視覚的に認識する道具も作られています。そのため、力学、つまり古典力学では「見えるもの」として単純に定義します。
相対性理論では光速度を不変とし、時間を再定義したほうが理解しやすい自然現象を扱いますので、時間を「見えないもの」として再定義します。しかし、相対性理論で時間の定義を新たに行っても、力学の定義は変更されません。すべての科学の理論は、ある程度完成した後に拡張することはしません。力学は力学。相対性理論は相対性理論。その潔さが、科学の簡単さを生み出す考え方の基本です。

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