力学③ 物理量の定義は2種類

力学

物理量は、その性質と定義のされ方により、2種類に分類されます。

「見えるもの」と「見えないもの」です。言い換えると、「視覚的に計測可能なもの」と「視覚的に計測できないもの」です。

力学で扱われる物理量は7つですが、もちろん、2種類に分類されます。

「見えるもの」は、「大きさ」「加速度」「速度」「位置」と…「時間」です。
「見えないもの」は、「力」「質量」です。

「大きさ」は形状も含みます。たとえば、立方体の物体を考える、となると、辺の長さを視覚的に測定して大きさの情報とします。

「位置」は適当に設定した基準点から物体までの距離を視覚的に測定したもの、
「速度」は位置の時間変化率、「加速度」は速度の時間変化率。いずれも、位置変化が視覚的に捉えられるので、「見えるもの」に分類されます。

「時間」は…少し特殊です。時間は難しい概念で、相対性理論などで再定義されるほどに、人間にとって捉えにくい物理量です。ですが、逆に難しすぎて、力学が作られた当時の技術力では、天体の運動などをもとにした時計で、ある意味、視覚的に捉える以外に認識する方法がありませんでした。そのため、力学では(時計で)視覚的に捉える物理量に分類します。

一方で、
「力」は見えません。たとえば、机を強く押したとします。机が強固で変形しなかった場合、本当に押しているのかわかりません。押している人は必死の形相で押しているかもしれませんが、外から見た人は、その人が本気で押しているのか、演技なのか区別がつきません。また、押している力の量を値として測定することも、視覚情報だけでは無理です。
同様に「質量」、ここでは「重さ」と考えますが、他人が持っている物体の重さは、視覚情報から判断できません。

ところで、今まで学校で学習してきた物理量(単位のついた数字)を分類できますでしょうか?

波に関する物理量は比較的見えるものが多く、「波長」や「振幅」などは「見えるもの」です。
一方で、熱力学の「熱」や、電磁気学の「電場」などは「見えないもの」ですね。

最後に2点ほど補足を。

なぜ「視覚」で物理量を区別しているのかについてですが、昔の人の計測技術では視覚的に捉えられないものを測定するのが難しかったから、かと思います。今では「音の大きさ」や「電流の大きさ」なども簡単に測定できますが、計測器がないと数値化するのは難しいです。

科学は「見えるもの」に分類される物理量が基本です。目の前の現象を理解したいから、科学を構築したのです。「見えるもの」を理解するために、「見えないもの」を導入したほうが便利だったら「見えないもの」を定義します。
「見えるもの」が知りたい物理量で、「見えないもの」が理解を助けてくれる物理量です。

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